NHKドキュメンタリー - ありのままの最期を観て

先日NHKで「ありのままの最期 末期がんの“看取(みと)り医師” 死までの450日」という番組を観ました。

https://www.youtube.com/watch?v=qv8Juwq839o

これは作り物の映画やドラマではない現実の出来事です。

 

これを観ていただければそれは観た人ひとりひとりが思う事はあるはずですがとりあえず私なりの感想です。

 

この番組は主役である田中医師の「究極の理想の死」を記録しようとして始まったものでありますが、癌の進行や薬の副作用により身体の状態は人それぞれ出方が違いますから本人の思ったシナリオ通りには行かないものだと思いました。

 

田中医師は生前どのように治療を進めていくかの意思表示もしていましたが、それも適わず医師である奥様からの医師としてではなく長く連れ添った夫婦として生かされるという非常に悲しい結末となりました。

奥様は死んでほしくない気持ちから、一旦は始まった持続的鎮静を途中で止めて、無理やり生かすという行動に出てしまいました。

 

もし本人が言葉をハッキリと発する事ができたら何と言うでしょうか。

多分「止めろ!!何しているんだ!!苦しいからもう楽にさせていれ!!」と叫んだと思います。

 

これは奥様が死んでほしくないという気持ちだけが強くでてしまい、旦那さんの痛みや意思、これまでしてきた事を全く無視する行為だと観ていて本当に本当につらくなりました。

その奥様の思いは最後に火葬場にもいけなかった事からも窺えますが、その行為が自分本位な人間なんだなと私の中で決定付けられました。

 

田中医師に意識障害が出たために自分が伝えたい事も伝えられなかった事でこのような事態になってしまいましたが、常に横で付き添っていた女房でさえ本人が希望する理想の死を理解できなかったというのは本当に残念でしかありません。

 

しかし結果的に死ねたのだからもう苦しまなくていいことだけが救いでしょう。すばらしいお医者さんでした。合掌